卓話

「 大室 ガバナー公式訪問 」
スピーチ RI第2680地区 大室 ガバナー
神戸中ロータリークラブの皆様、こんばんは。
国際ロータリー第2680地区ガバナー、宝塚武庫川RCの大室 です。
先程、河村 公逸会長、中橋 康行幹事と親しく会長幹事懇談会を持たせていただきました。河村会長は、RI会長ロンD.バートンさんのテーマをよく理解されている素晴らしい会長です。
皆様は、この河村会長を盛り立てて、ロータリーを楽しんで頂ければ、きっと大きな成果の上がる年度になることを確信いたします。
次に、当クラブから地区委員として協力して頂いている、米田 修さんには、クラブ奉仕委員会とロータリー財団委員会をお願いしています。 よろしくお願いします。
そして、神戸第2グループガバナー補佐を 当クラブの宇尾 好博さんにお願いしております。宇尾さんには、グループ内のことに関して、いつも正確で適正な報告を頂いています。これからもよろしくお願いします。
その宇尾さんの当クラブの評価は、潜在力を充分に持ったクラブであるとして高い評価となっております。私も、公式訪問報告書と今日の会長幹事懇談会から、神戸中RCは将来性のある、素晴らしいクラブであると判断しました。
それでは、本題に入ります。
今回は、簡単な自己紹介の後、RI会長ロンD・バートンさんのRIのテーマの説明、そして私のロータリーに対する考えをお話しいたします。
私はロータリーに入って35年になります。
外科医で、職業分類は病院です。大学卒業後は、阪大病院、兵庫医大病院、市立芦屋病院、堺の大阪労災病院で勤務しておりましたが、38歳の時に父を亡くしまして、長男であった私が跡を継ぐことになりました。経営のことなど全く素人でしたから、まさに暗中模索の毎日でした。
そんな時に「新しいロータリークラブを作るから、入らないか」という誘いを受けまして入ったのが、今の宝塚武庫川ロータリークラブです。
チャーターメンバーは30名で、39歳の私は若い方から2番目でした。クラブの皆さんは、人生経験の豊富な人達ばかりでしたから、私にとっては一度にすばらしい兄や、父が28人も出来たも同然でした。
こうした多くの人生の先輩達との出会いが、すべてが手探り状態だった私にとりましては、大きな助けになりました。職業奉仕という言葉も、病院を経営していく上では大変新鮮でした。そして、ロータリーの心、特に4つのテストに沿って患者さんや病院スタッフに接してまいりました。
今振り返ってみますと、ロータリーがあったからこそ、この30年以上に亘り、充実した日々を送る事が出来たと思っています。そして今では、4つのテストが私の座右の銘となっています。
それでは、今年度のRI会長ロンD・バートンさんについてお話しします。
バートンさんは、アメリカの弁護士さんです。1979年に オクラホマ州のノーマンロータリークラブに入会されました。4年後にクラブ会長、そして、早くも入会して8年で地区ガバナーとなっておられます。そのあとはRIの要職、特にRIの現在の路線、ポリオの撲滅・RIの戦略計画と未来の夢計画の作成にこの26年間深く関わってこられました。
実はこんなバートンさんですら、「入会して1年半ほどで退会を考えた」と言われています。それは「昼食を兼ねた例会に出席するだけで、何のために 貴重な時間を使っているのか」と大変悩まれたそうです。
そのことを入会を勧めてくれた人に相談しましたところ、それならロータリー財団の仕事をやってはどうかと言われ、翌年からクラブ財団委員長となり活躍をして行く中で大きく変わって行かれました。
バートンさんは「ロータリーで何かを実行すれば、社会に大きな変化をもたらすことができる」と語っておられます。
そんなロン・バートンさんの今年度のRIテーマは“Engage Rotary, Change Lives”
“ロータリーを実践し みんなに豊かな人生を” です。
バートンさんはこう語っています。「ロータリーに真に打ち込めば、その人の人生は変わっていくでしょう。そして、ほかの多くの人々の人生も変わります。しかし、最も人生が変わったのは、ロータリアンあなた自身なのです。」
バートンさんはこうも言っておられます。「ロータリーを実践するとは、ロータリーの奉仕活動に関わることです。ロータリーの奉仕活動には色々あります。それは五大奉仕のすべてです。」つまり、クラブ奉仕や職業奉仕も含んでいることを示しています。
そして、このテーマの私の解釈は、“Engage Rotary, Change Lives”は、ロータリーの奉仕の哲学 奉仕の理念“Ideal of service” を具体的に表したものです。
まず最初の句「ロータリーを実践し」の Engage Rotary はロータリーの哲学の第1モットーである「超我の奉仕」“service above self”を表しております。全句では、第2モットーである「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」シェルドンの提唱した“They profit most who serve best”を表します。そして、第2モットーの中のprofitとは本来、利益を得る と言う意味ですが、ポール・ハリスも「この場合の profitとは、ドルでも セントでもない。それはお金ではなく、人生におけるsomethingなのだ」といっています。
つまり、心豊かになる、幸せになる、人生における大切なものということです。本当に素晴らしいテーマです。
今年度のテーマピン、テーマフラッグの公式の説明は、
赤 : はバートンさんの出身校オクラホマ大学のスクールカラー、バートンさんからもらった、私の締めているネクタイは、今年度の公式ネクタイですが、同じくオクラホマ大学のスクールカラーの赤です。
青 : はオクラホマの澄みきった青空をイメージしたオクラホマ州の州旗の青い色 を表しております。
中央はロータリーマークをロータリアンがEngageする様子が描かれています。Engageとは、本来、婚約する、約束する、取り組むという意味ですが「歯車をはめ込む」「歯車を回す」という意味に使われています。
そして、このフラッグは、ロータリアンが大勢の人々の人生をより豊かなものに変えることを表す。ということです。
さて、ロータリーの今年度は大きな変革の年であると同時に、ポリオ撲滅に向けてのラストスパートの年であると言われています。
まず、ポリオについて述べます。
ロータリーのポリオへの取り組みは、ポリオプラスプロジェクトとして26年前に本格的に始まりました。バートンさんはその時のガバナーエレクトでした。そして先程述べましたように、26年間、ずっとポリオに関わってこられました。バートンさんは、今年度のRI会長として、自分の年度には、ポリオを絶対撲滅させるのだと、強い決意を表しておられました。
確かに26年前は、世界中の多くの国々で 毎年35万人もの子供がポリオに苦しみました。私達はこの26年間で、20億人もの子供に生ワクチンを投与しました。その努力の結果、やっと昨年1年間でポリオの患者が223人にまで減りました。今年に入ってからの発生は9月19日現在256人です。ついに、昨年を超してしまいました。昨年までの常在国のアフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアでは 79人と減っておりますが、
今年に入って新たにポリオ常在国でない、アフリカ東海岸のケニア15人、エチオピア1人、そして、ソマリアではなんと165人、計181人の発生がありました。
皆さんご存知の通り、ソマリアは今、無政府状態に近く、海賊が横行しているところです。今、ロータリーはWHOを通じて、ソマリアに50万米ドルの緊急支援をし、子供達に生ワクチンの投与を始めております。また、日本政府もソマリアにワクチン購入の為の、130万ドルの緊急支援を決めました。
ポリオの特性は、ウィルスに感染しても10%しか発病しません。それも、少し熱が出る程度で済みます。障害を残す人はその中でもごくわずかです。つまり、ウィルスに感染していても症状のない人が沢山いるということです。誰がウィルスを持っているのか解りません。それが、ポリオウィルスの撲滅を難しくしているところです。
あと少しです、と言われていますがなかなか難しいようです。
天然痘は、地球上から完全に撲滅出来ましたが、感染すると殆どの人が発病します。全身に醜い発疹が出ます。この人達を治療すれば良いのです。ですから、ポリオに比べ、地球上から比較的容易に撲滅出来ました。
ポリオはウィルスを持っている人の便からうつります。衛生状態の悪い所ではすぐに広がります。ですから、ポリオウィルスを放置しておきますと、直ぐに元の状態に戻ります。私達にはあとまだ数億ドルあるいは、それ以上のお金が必要であるとも言われています。 一層のご協力をお願いします。
そして、今年度のロータリーには大きな変革が3つあります。それは、
1 未来の夢計画が全世界のクラブでスタートしたこと。
2 RIの戦略計画の見直し
3 規定審議会での定款・細則の見直し です。
まず、未来の夢計画ですが、ロータリー財団は、1917年にアーチC.クランフが世界で良いことをしようと、基金を作ることを提唱しました。2017年には100周年を迎えます。この記念すべき時にあたり、より取り組みやすく、私達の財団と実感できる様、様々な工夫がなされています。
これは、100のパイロット地区で3年間実施されましたが、97の地区から大変よかった、クラブが活性化したと高い評価を得ております。つまり、97%の地区が素晴らしいと評価しました。
また、未来の夢計画は今年、アメリカでエジソン銀賞を受賞しました。エジソン賞とはあの発明王トーマス・エジソンにちなんだ賞です。未来の夢計画は、人々の生活を画期的に変える仕組みであると評価されたことが、受賞の理由です。つまり、ロータリー以外の世界でも高く評価され、賞賛された訳です。
ですから、未来の夢計画は素晴らしいものであると自信を持ってこれからも取り組んで下さい。
次にRI戦略計画の見直しですが、私は2010-13年版のRI戦略計画は本当に良く出来ていて、ほぼ完成に近いものではないかと思っていました。ロータリーの108年の歴史で、変わってはいけない部分をしっかりとふまえており、国際ロータリーが作った立派な組織文化論であると思っています。
今回、RIの戦略計画に対して、2000人のロータリアンのアンケートの結果が出ました。そして、2010-13年版は97%の人が、素晴らしい、RIは正しい方向に進んでいると答えました。そこでRIは、2010-13年版は変更しないことに決定しました。ただ、この戦略計画を理解している人は56%で、26%は知らないと答えています。
当地区でも、5月のクラブ奉仕セミナーで、南園義一RI元理事に解説して頂きましたが尚一層の周知徹底が必要であると思われます。
そして3つ目は、今年4月規定審議会が開催されまして、定款・細則が見直されたことです。200近い案件が出ておりましたが、これはと思われるのを1つだけ紹介します。
13-43 2013年規定審議会の43番目の案件ということを表していますが、仕事をしたことが無い人、または中断している人を正会員として認める件、つまり、専業主婦も入会させようということです。フランスからでた案件ですが、これがなんと359対165 の 大差で通りました。本当にロータリーも門戸が広がったといえます。
その他、詳細は2013年規定審議会報告書をお読みください。
次に、私の運営方針を述べます。
今、特に当地区で今やらなければいけない大きな問題は、3つあります。
1つは会員の増強です。バートンさんは、こんなことも言っています。「高校時代、国際キワネスクラブの青少年プログラムで、キークラブで活発に活躍していました。 当然自分は、ロータリアンではなくキワニアンになると思っていました。しかし今、国際ロータリーの会長エレクトとしてここに立っています。これは何故だかわかりますか。その理由は、誰もキワニスクラブには誘ってくれなかったからです。私を誘ってくれたのは、ノーマンロータリークラブでした。今日、ここに居るのは、入会をロータリーから勧められたからです。ですから、まず皆さんも声を掛けることです。
会員増強は他の誰の仕事でもありません。私達会員一人ひとりの仕事です。私達に与えられた仲間を増やすチャンスなのです。」と。私もその通りであると思います。
皆さん、是非このチャンスを生かしてください。
今年度7月1日の地区の会員数は、2854人です。昨年の7月1日に比べ45人減っています。地区目標でありました3,000人に対し146人も足りません。
各クラブ1名以上とお願いしていましたが、ここに来て、2名以上の増員を図って頂くことをお願いいたします。
そのためには、若い人、女性をターゲットにしてください。
また、青少年プログラムから将来のロータリアンを育てる、つまり、私達が青少年
のプログラムからロータリーの会員を作るということです。最近、バートンさんから
私達世界中のガバナー宛に、学友からロータリーの会員をつくるようにとのメールを
頂きました。そのためには、ロータリーの会員になるようないい原石を見つけ、プロ
グラムに参加させ、それを磨いて育てなければいけないということです。
そして、私、ガバナーの任務には拡大があります。私はEクラブも含めまして、新
しいタイプのクラブの結成を目指しています。
ここで、真に残念なことをお伝えします。それは、淡路北RCがこの9月30日付で国際ロータリーを退会しました。会員数12名まで減っておりましたが、若い会員の入ってこないクラブに未来はない、との理由によるものです。私も思い止まる様に努力いたしましたが、残念です。
そして2つ目は、新しいソーシャルメディアの活用によるロータリーのブランディ
ングと公共イメージの向上です。今年度に入り、ロータリーのブランド力を高めるためにロータリーのロゴマークの使い方が変わりました。各クラブ会長宛に情報を流しておきました。皆様もご確認ください。
そして、今の若い人は、新しいソーシャルメディアでつながっています。若い会員の多いクラブになるためには、是非これを活用してください。
3つ目は、寄附金についてです。ロータリー財団と米山記念奨学会への日本の昨年の一人当たりの寄附の実績は、平均ロータリー財団が13,739円、米山は15,046円と
なっております。そこで当地区でも、それぞれ一人1万5,000円以上計30,000円以上をお願いしております。神戸中ロータリークラブの皆様も、ご検討ください。
ロータリー財団でよく言われる言葉です、「お金があってもロータリーの奉仕活動は出来ない、心がなければできない。しかし、心があってもお金がなければ何もできない。」まさにその通りです。
どうか今年度も沢山ご寄付いただき、いいプロジェクトをどんどん計画してください。
さて、ロータリーは、皆さんご承知の通り、ポール・ハリスが、心が通う友を求めて、3人の仲間と新しいクラブを作ったのが始まりです。1905年のことでした。会員は一業種から1人で、同じ様な考え方を持つ人が、会員として選ばれました。
当初、会の目的は相互扶助と親睦でした、つまりクラブの仲間だけが栄え、自分たちだけが楽しかったら良い、というものでした。
しかし、入会前のドナルド・カーターという人に、自分達だけが良かったら良いというクラブに未来はない、一業一人なら、このクラブに入れない人はどうするのだと指摘されまして、ポール・ハリスは「世のため、人のため」を考えなければいけないことに気づきました。ロータリーに「奉仕」というもう一つの概念が加わりました。
これが、翌年の1906年のことでした。奉仕の概念が加わったことで、ロータリーがシカゴにだけ止まらず、世界中に広がっていくきっかけとなったのです。
1908年にサンフランシスコに2番目のクラブが出来て、ポール・ハリスの言葉によると「稲妻が瞬く間に空を切り裂くように」その後世界中に次々と新しいクラブが誕生し、今では世界200カ国以上におよそ3万4000のクラブ、120万人もの会員を持つ国際ロータリーに発展しています。その一つが神戸中ロータリークラブです。
このことからも、ポールの気持ちを大切にするなら、ロータリークラブは、単なる親睦だけの社交クラブであってはならないのです。奉仕と親睦がなければいけないのです。つまり、奉仕活動をする中から親睦が生まれるのが、ロータリーの親睦の理想の形です。