会長報告

中橋　康行　会長

こんばんは。毎週天災に襲われていますが、皆さま方は被害は如何でしたか？

毎週自然の怖さを感じます。

さて先週はノーベル物理学賞に日本人３名の受賞が決まりました。厳密にいえば２人の日本人と一人の元日本人であります。青色発光ダイオードの発明を讃え、赤崎、天野、中村の３博士に送られました。非常に素晴らしい快挙で祝福します。

しかしその一方で中村教授と日亜化学工業の関係について、奇しくも先週は吉田職業奉仕委員長の卓話[会社はだれのものか？]がありました。若い会員の方はご存じないかもしれませんが、徳島県に日亜化学工業という会社がありまして、その研究者が青色LEDを開発に成功しました。約２０年以上前の話でありますが　その成功報酬を求めて東京地裁に訴訟が起こされました（２００１年）。２００億円の要求額でありました。その金額の大きさと会社負担による研究成果はどこに帰属するかということで社会の大きな注目を集めました。
原告は今回受賞の中村教授であります。原告の主張は600億の利益を日亜化学にもたらしたのに　その報酬は２万円であったとのことでした。被告側の主張は同世代の社員より約１０年間で５０００万円多い報酬をはらっていた、自由な研究時間、アメリカ留学、また多くの共同研究者がいたとの反論でありました。東京地裁の判決は２００億円の支払いを命じました。ただちに被告は控訴し、東京高裁では和解勧告があり、６億円、遅延金２億４０００万円計８億４千万円で和解しました。受賞はこのことを忘れかけたころに再び思い出すこととなりました。仕事上の成功、損害は会社に帰属するのか、本人の手柄か責任に帰属するのか。このテーマは（会社はだれのものか）ということのテーマとも密接に関連しております。
日本の企業風土と社会感覚が複雑に絡んで、経営者の皆様にはいろんなことを深く考えさる事象でありました。

いろいろな考えがあると思いますが、ともかく日本より青色LEDが開発されたということは　誇りに思います。