幹事報告

岩野　昭　幹事

・3月のロータリレートは先月と同じ￥118-です。

・ロータリの友、ガバナー月信3月号が届いています。それと垂水ロータリークラブより第28回垂水区民講座の開催案内をポスティングしています。

・先週、案内しました出前研修セミナー【西播・東播・田島地区】の会場が変更となっています。姫路商工会議所からハーベスト医療福祉専門学校です。

・神戸第2グループ合同コンペの案内が届いています。
　日時：４月２６日　　OUT、IN共　８時２４分スタート
　場所：ジャパンメモリアルゴルフクラブ
　参加費：￥10,000-
　プレー費は各自払い￥19,020-（キャディー付、食事費等は別途）
　締切日：３月２６日　　　参加希望会員は事務局まで。

・2015－16年度のクラブ参加資格認定書と年間スケジュールが届いています。
次年度の岡田幹事に渡しておきます。

・第36回青少年指導者育成セミナー報告書が届いています。後程、他クラブ週報と回覧致します。詳しくお読みになりたい会員は事務局に置いて有ります。

・本日、例会終了後３月度理事役員会を開催致します。関係者は御残り下さい。

卓話

「　社会人のための生物学　」

当番　　米田　　修　　会員

本日の卓話を担当いたします米田です。本日の演題は「社会人のために生物学」といたしました。パワーポイントのスライドを用いてお話を進めて行きます。
山中先生の発見されたiPS細胞にまつわるお話をします。
遺伝子を導入するということですが、遺伝子がどのようなものかを説明しておく必要があります。我々人類の染色体は22対の常染色体と一対の性染色体から構成されています。染色体は細胞分裂の特定の時期にみられるもので、図にお示しした通り30億個のDNA（ATGC）がつながっている長い長い分子の鎖です。その一定部分が翻訳という作業の結果特定のたんぱく質や分子となります。そのような配列を遺伝子と呼びます。
その作業を想像してみますと、多数の人材を用いて30億枚のコピーを行い、それを順序間違えずに並べることが、DNAの複写であり途方もない作業であることがわかりますが、我々の細胞の中では分裂時には数時間でそれを行っているのです。
我々の体は一粒の受精卵が細胞分裂を繰り返して形作られています。　この細胞の分裂が同じ細胞の集まりならばドッジボールのようなただの塊になってしまうのですが、細胞分裂を繰り返しながら頭側尾側、腹側背側など軸を作ってそれに従って形作りが順序良く徐々に出来上がっていきます。この仕組みには遺伝子の組み合わせが関わっていることが最近の研究で少しずつ分かってきています。時間的空間的にこの遺伝子の組み合わせが制御されていてある時期を継ぎると特定部位の細胞は特定臓器に分化していくように運命づけられてきます。そしてその運命づけは分化して行く方向にのみ進み、一定範囲以上は後戻りはしない、というのが生物学の常識だったのです。
人間の遺伝子数は2万数千個とされていますが、山中先生はそのうち4つの遺伝子を強制発現させることによって分化成熟した細胞をあたかも受精卵から分化し始めた時期の幼若細胞のようにリセットさせることに成功されたのです。
人間の細胞の分化していく仕組みについて他の動物の細胞や昆虫を使って研究が進んできました。ショウジョウバエは受精してから孵化するまで1日、成虫になるまでが9日ともっとも研究に適していることから盛んに実験が行われてきた昆虫の１種です。
皆さんはハエというと人間とまったくかけ離れた動物として想像されることでしょうが、
遺伝子を比較してみると思いのほか近いことが分かってきています。
ホメオボックス遺伝子と呼ばれる遺伝子のグループがあります。この遺伝子は体軸の順を決定していると想像されていますが、それらの配列にも人間とハエには共通する部分が多く見られます。細胞の分化は受精後にどんどん進んで、ある時期までは胎盤を含むすべての臓器になる全能性を有していますが、ある時期を超えると細胞の運命は決まってしまい、他の種類の細胞に分化することが出来ないことが判っています。ハエを使った実験結果を御紹介いたします。　胸椎にあたる細胞を２倍にして移植すると羽が２倍に増えたハエ、触角になるべき場所に足になると運命つけられた細胞を移植すると触角の位置に足が生える細胞、つまりこれらは一定時期には細胞の運命が決定されてきている。しかしその時期前であれば周囲の環境で細胞の運命が決まって行く、ということを教えてくれた研究結果です。このように受精卵から始まった細胞分裂の運命はこれまでは一方方向にしか進まないというのが細胞生物界の大原則だったのです。ところがiPS細胞は分化（いろいろな細胞に変化すること）した細胞を逆戻りさせているので、学会で発表されたときには研究者が皆大変驚いたのです。
現在ではiPS細胞を利用した様々な臨床試験が始まろうとしています。昨年には神戸の理研で高橋先生が加齢黄膜変性症の患者さんに網膜に分化させたiPS細胞を移植しました。現在のところ経過も順調のようです。その他にもパーキンソン病の治療、心臓の種々の疾患に対する治療、脊髄疾患、さまざまな治療プロジェクトが立ち上がっています。
自己の細胞を修復して生命を延ばす、どこまでこの研究は進むのでしょうか？今後は様々な倫理問題も浮上してくると思われます。
最後に山中先生の語録の中から一つ御紹介させて頂きます。山中先生の師匠であるグラドストーン研究所のロバート・マーレー先生のお話です。　マーレー先生は愛車のフォルクス・ワーゲンのマークを見ながら山中先生に「これはヴィジョン・ワークハード」と読むのです、一所懸命に働くだけでは事は成せない、ヴィジョンを持ちなさい。と教えて励まされたそうです。ワーゲンのマークを見るたびにこの話を思い出します。
以上で卓話を終わります。　少しでも皆様のお役にたつ話であったなら幸甚でございます。

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