会長報告

☆内波 憲一 会長
みなさまこんばんは 今日は卓話の為に前にはたくさんのウィスキー他のボトルが並んでいます。冨士谷さん、卓話を楽しみにしております。普段はこの火曜日を基準に一週間が早いなあと思っているのですが 例会が一週間あくと非常に久しぶりのような気がします。私はその前週も出張で休んでおりましたので本当にお久しぶりです。社用出張のためパリに年に一度はまいります。そのたびに、昨年パリでのテロがあったためか、治安は大丈夫か?と聞かれます。パリの日常は完全に戻っていますし、世界からの観光客も完全に戻っているのですが、なぜか日本人観光客のみ減少したままのようです。それと、静岡北ロータリークラブより友好クラブしませんか、という申し入れがありました。設立時期がほとんど同じということと人数規模も同じくらいということです。理事会において前向きに進めていこうとなりましたので報告申し上げます。
卓話


☆「 バーの楽しみ方 」
スピーカー 冨士谷 直樹さん
ホテルオークラ神戸メインバーエメラルド
アシスタントマネージャー
日本ホテルバーメンズ協会阪神支部副支部長
当 番 岩﨑 重曉 会員
<お酒の歴史>
お酒の誕生は 500~700 万年前と言われている人類より古いと考えられています。
葡萄は 2000 万年前には存在していたことが化石によって証明されていますし、それよりはるか以前から微生物は存在しています。この事から、葡萄に含まれている糖分が微生物によってアルコールに変えられていき、いわば天然のワインが誕生していたと推察できます。昔々の人類が取りためた葡萄がその天然のワインとなり人類とお酒の出会いとなったことでしょう。お酒との出会いをはたした人類は、やがて偶然の産物ではなく意識的に酒造りを目論むようになって行きます。その時代の特定は難しいのですが、農耕生活を始める頃、紀元前 6000~1 万年前だと考えられています。
<ワインって・・・?>
ワインの定義としては果物の醸造酒です。りんごから作られるシードルや、キウイフルーツから作られるワインもワインの範疇となります。ただし、一般的にはブドウで作られるグレープワインがワインとして広く認識されています。それはワインという言葉からもわかります。ワインは英語 Wine フランス語ではヴァン Vin、ドイツ語ではヴァイン Wein、イタリア語・スペイン語ではヴィノ Vino、ポルトガル語ではヴィーニ Vinho といいますが、これらはすべてラテン語でブドウを意味するヴィノム Vinumが語源となっています。現在、世界 50 カ国以上の国であわせて年間 6000 万トンものブドウの収穫があるそうですが、その 9 割以上がワインになっているそうです。
<ビールって・・・?>
ビールの歴史はワインと同じように古く、紀元前 4000 年以上前から飲まれていたようです。当時のビールは今のものとは違いドロドロした白いお酒だったようです。当時のビールはパンのおかゆに酵母をいれて発酵させたものなのでしょう。今のビールの原型は 9 世紀になってホップを使ったビールが造られるようになりました。
ビールは基本的には大麦麦芽・水・ホップを主原料にスターチや米の副原料を加えて発酵させた醸造酒です。プレミアムモルツや、エビスのように主原料だけで造られるビールもあります。日本に限らず、世界でもっとも飲まれているお酒です。
<ウイスキーって・・・?>
ウイスキーとは大麦などの麦芽を主な原料とした蒸留酒の一種です。洋酒の中ではもっとも一般的な蒸留酒といえ、種類も豊富にあります。
生産国によって多少の違いはありますが、麦芽や穀類を原料にこれを糖化、発酵させて蒸留し、樽で熟成させたお酒をウイスキーと言います。蒸留酒であるウイスキーはホワイトスピリッツと呼ばれるジン・ウォッカとは違い、樽で熟成させることにより、ブランデーなどと同じく琥珀色をしていることから、ブラウンスピリッツと呼ばれます。樽熟成は色だけではなく、風味をまろやかにし、華やかな香りと深い味わいを持ったお酒にしてくれます。ちなみに、世界5大ウイスキーは、スコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本のウイスキーのことを指します。
<ブランデーって・・・?>
ブランデーとはブドウを原料とした蒸留酒ですが、ワインと同じく広い意味ではフルーツを原料にした蒸留酒のことを言います。ただし、こちらもワインと同じく一般的にはブドウを原料にしたグレープブランデーのことをブランデーと呼びます。
ブランデーの語源は、オランダ語のブライデウエイン Brandewijn(焼いたワインという意味です)がイギリスでなまってブランデーと呼ばれるようになったと言われています。
<ジンって・・・?>
ジンとはトウモロコシなどの穀物を原料とする蒸留酒に、ジュニパーベリー(杜松の実)などを浸し、成分を抽出したものさらに蒸留したお酒で、無色透明で爽やかな風味が特徴です。
ジンは17世紀後半にオランダで薬用酒として造ったといわれており 18 世紀にはイギリスに伝えられイギリス国民に親しまれたそうです。その後アメリカに伝えられ、カクテルの素材として脚光を浴び世界中でジンは飲まれるようになりました。この経緯からジンは、「オランダに生まれ、イギリスで育ち、アメリカで栄光を得た」といわれています。
<ウォッカって・・・?>
ウォッカとは、主に穀物を原料とし糖化・発酵・蒸留し白樺の活性炭で濾過した蒸留酒のことを言います。ウォッカは無色・無味・無臭といわれますが、ライトな中にも原料由来の微妙な味わいと活性炭濾過によるまろやかさがあるのが特徴です。
12世紀にロシアで生まれたウォッカが19世紀には現在のものの原型が出来ました。第二次世界大戦まではほとんどの産地がロシア、ポーランド、バルト海沿岸地方に限られていましたが、戦後はアメリカを中心に世界中に広まり現在もカクテルのベースとして親しまれています。
<ラムって・・・?>
ラムとは、サトウキビの絞り汁を煮詰めて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料にして蒸留した、甘みをもった男性的な味わいをもったお酒です。
コロンブスの新大陸発見とともにヨーロッパから持ち込まれたサトウキビは、西インド諸島の気候が栽培に適していたこともあり、世界一の産地となっています。このサトウキビを16世紀初頭にスペイン人の探検隊が蒸留しお酒を造ったのがラムの起源だと言われています。
ラムの語源にはいくつかの説がありますが、西インド諸島の原住民が飲んでいたランバリオン(Rumbullion)というお酒に由来するというのが有力とされています。ランバリオンとは興奮とか騒動とかを意味する言葉で、飲むとそんな気分にしてくれることからこの名前になったと言われています。
<テキーラって・・・?>
メキシコ原産の竜舌蘭の一種、アガベ・アスール・テキラーナを原料とし、その茎の部分のでんぷん質を糖化,発酵、蒸留したお酒がテキーラです。ジン、ウォッカ、ラムと並び 4 大スピリッツのひとつで、その中でも最も個性が豊かなお酒といえるでしょう。メキシコの原住民は竜舌蘭の樹液を発酵させてプルケというお酒をトルテカ、アステカ文明から飲まれているといわれているので 7 世紀ごろからでしょうか。16 世紀に入りメキシコに上陸したスペイン人から蒸留の技術が入り、プルケを蒸留したメスカルというお酒が誕生します。プルケもメスカルも今でもメキシコで広く造られていますが、各地で生産されるメスカルの中でも特に、ハリスコ州のテキーラ村産のものが評判がよくテキーラと呼ばれるようになりました。もとは地元でしか知られないお酒でしたが、1968 年のメキシコオリンピックを契機に世界中でテキーラは知られるようになりました。
<リキュールって・・・?>
リキュールとは、一般的に蒸留酒に果実、花,香草薬草などを加えて味、香りを移し、砂糖などの甘みを添加して造られるお酒のことを言います。
古代ギリシャ時代より薬草をワインに溶かし込み水薬が造られていたようです。今のリキュールの原型は 12 世紀から 13 世紀にかけて出来ました。当時の最新技術である蒸留を用いて、蒸留酒に薬草、スパイスなどを抽出したお酒が造られるようになりました。植物などの有効成分が溶け込んでいることから、ラテン語でリケファケレ(溶け込ませるの意味 Liquefacere)と呼ばれました。このリケファケレがリキュールの語源になりました。ここから長く薬酒としてのリキュールが続きますが 15 世紀のイタリアより楽しむお酒としてのリキュールが生まれました。19 世紀から 20 世紀にかけて現在のような洗練された味わいのリキュールが広がっていきました。日本には、豊臣秀吉の時代に「利久酒」と呼ばれていたものが南蛮貿易によってもたらされたリキュールだったのではと考えられています。
<カクテル!!>
カクテルって何でしょう・・?お酒はそのままストレートで飲むか、何か加えて飲むか・・・
混ぜた飲み物はミックスドリンクと呼ばれますが、ミックスドリンクとは「お酒+何か」これをカクテルの定義と考えることが出来ます。
数種類のお酒に果実や薬味などを混ぜ合わせた飲み物といえば具体的でしょうか・・?
<カクテルの語源>
カクテル(Cocktail)とは雄鶏に尻尾からきています。Cock tail です。なぜそのように呼ばれるようになったのか、はっきりとしたことは諸説ありわかっていませんが、有力な説をひとつ紹介します。
昔、メキシコのユカタン半島のカンペチェという町にイギリスの船が入港した際、長い航海の疲れを癒そうと、上陸した船員たちは酒場を訪れました。酒場に入ってみると、カウンターで一人の少年が飲み物を作っていました。船員たちはその飲み物を指して、「その飲み物は何?」とたずねたところ、少年は飲み物の名前ではなく、混ぜていた樹皮を剥いだ小枝のことと勘違いをし、「コーラ・デ・ガジョ」と答えたそうです。
コーラ・デ・ガジョとはスペイン語で雄鶏の尻尾を意味し、小枝の形からそう名づけられていました。このコーラ・デ・ガジョを英語に直すと「テール・オブ・コック Tail of cock」となり、以来こうした混ぜた飲み物はテール・オブ・コックと呼ばれ、後にカクテルと呼ばれるようになったそうです。
<カクテルの歴史>
古くは古代ローマ時代まで遡るようです。当時、ワインやビールがありましたが今のものとは違いアルコール度数の低い酸っぱいお酒でした。あまり美味しくなかったのでしょうか・・
そこで美味しく飲むために人々はワインやビールに海水や香草、ハチミツなどを混ぜて飲んでいました。先ほどの「お酒+何か」からするとまさにカクテルではありませんか!!とは言いましても、今のようなきりっと冷えたカクテルは 19 世紀後半にドイツのミュウヘン工業大学 カール・フォン・リンデ教授による製氷機の発明を待たねばなりません。昔、寒い時期意外の氷は非常に貴重なものでしたのでカクテルに使われることはほとんどなかったことでしょう。
製氷機の発明により今も飲まれているようなカクテルはアメリカで生まれていきました。アメリカは当時、建国後の歴史が浅かったため伝統的な飲酒文化がなく、新しいスタイルの飲み方に積極的だったことが要因だったのでしょう。今も飲み続かれているカクテルが 19 世紀後半から 20 世紀初頭にかけて数多く生まれました。カクテルの王様と呼ばれるマティーニが 1860 年代に、カクテルの女王様と呼ばれるマンハッタンは 1870 年代に、さらにジンフィズが 1890 年代とアメリカでつぎづぎに誕生しました。
アメリカで始まった新しいカクテルは、第一次世界大戦、アメリカの禁酒法などによりヨーロッパにて更なる発展を遂げました。
日本においては明治維新後の 1869 年にジンが初めて輸入され、これをきっかけにして日本人がカクテルを知ったといわれています。庶民がカクテルに接するようになったのは明治末期から大正にかけてと考えられています。1910 年に東京 銀座で開店した「カフェ・プランタン」が日本人による日本人のための最初バーと言われています。
神戸においては、大正 11 年創業の「アカデミー・バー」(2016 年閉店)が代表でしょうか。「キングスアーム」、「神戸ハイボール」、「サヴォイ」、「ルル」など今は営業していないバーですが神戸のバー文化を形成していったのでしょう。
バーを愉しむ、いかがでしたでしょうか?今宵もお好きなバーでグラスを傾けていただけたらと思います。