会長報告

　　　ビール

今日は。
以前，会長報告でご説明したコロナについての法制度について，論文にしたものが，岩波書店の月刊誌｢世界｣の１２月号に掲載されました。これは，買ってくださいということではなく，ご報告です。興味のある方は…立ち読みしてください。
　緊急事態宣言が解除されて，おいしいビールが外で飲めるようになりました。ビールは，どのようなお料理にも合いますが，いつ頃，誰が作ったのでしょう。
　紀元前３０００年にシュメール人が発明したと言われています。シュメールはメソポタミアにある都市国家です。小麦の一種で作り，色は大麦でつけて，蜂蜜やニッキ等の糊料をくわえてつくったそうです。なんとビールの種類は１３種類ありました。５０００年も前のことで驚きですね。
　ビールは給料の一部としても支払われ，通常の勤労者が日給ビール２リットル，地方行政官や高級僧侶は１日５リットルが支給されました。シュメールに生まれたかったと思う人もいるかもしれません。
　ビールはバビロニアに伝わりました。バビロニアは，紀元前１７世紀に，あの，｢目には目を，歯には歯を｣というハムラビ法典を制定したところです。ハムラビ法典はビールについても規定していました。当時，ビアホールを経営していたのは女性だったようです。
もし，ビアホールの女将が，ビールの量を偽った場合は，川に投ぜられる。泳げないと溺れますね。
　もし，罪人がビアホールにいるところを捕らえて，当局に通報しないときは，女将は死刑にする。
　もし，尼さんが，ビアホールでビールを飲んだら，火炙りとする。尼さんがビアホールを営んだときも火炙りとする。
　大変厳しいルールですね。
　紀元前２０００年には，エジプトでビールが造られました。エジプト人というとピラミッドを作ったので勤勉で真面目な人たちというイメージですが，皆さん大変な飲んべえです。
エジプトでは小学生もビールを２本もって学校に行きました。お父さんが学生の息子に宛てた手紙が残っています。文語体で約されていますが
｢ビールを飲み候こと，むげに悪しきことと申すにはなきにこれ候えども，節度を守るが肝要なること，恋愛同然と存じ候。｣もののわかったお父さんです。
学校の先生が，飲んべえの学生を嘆く文章も残っています。
｢学生らは書物を忘れ
快楽にとらえられ
酒場から酒場へとビールの香りを求めて歩く。
人皆の忌むビールの香りを。
酒は若き魂を腐らせ，
彼らの学問はさながら，
壊れた櫂のよう，
当てもなく漂う。｣
皆さんも，櫂にならないように，ほどほどにお酒を召し上がってください。