会長報告

　愛子さん　　　
　　　
　今晩は。
　天皇皇后の長女さんである愛子内親王が２０歳の誕生日を迎えたと言うことです。お父さん，お母さん，おばあさんによく似て，やさしい，かわいらしい顔をしていますね。お幸せになっていただきたいと思います。
皇族の数が減っていること，とりわけ男性の皇族が少ないことから女性の天皇を認めるべきではないかという意見があります。
　憲法に女性の天皇についてはなんて書いてあるのでしょう。憲法２条で，天皇は世襲である，このほかの天皇の地位の承継については，国会が皇室典範という法律で定めてください，と書いてあります。で，皇室典範という法律の１条は，天皇の地位は男性が承継すると書いてあるのです。従って，国会の過半数の決議で，天皇の地位を女性も承継すると皇室典範を改正することは可能なのです。
　過去に，女性の天皇は，延べ１０人，実質８人いました。延べ１０人とは，同じ人が名前を変えて２回天皇になった人がいるからです。こういう人が２人ました。
　最初の女性の天皇は，教科書で習ったことのある推古天皇です。皇太子が甥の聖徳太子で，推古天皇を支えたわけですね。次の女性の天皇が延べ２人，実質１人の天皇です。皇極天皇と斉明天皇です。その次が持統天皇です。百人一首の「ころもほすて，ふあまのかぐやま」という歌を詠んだ人ですね。
　もう一人の延べ２人，実質一人の天皇が，孝謙天皇と称徳天皇です。この人は，称徳天皇の時に，銅鏡というお坊さんを寵愛して，天皇の位を譲ろうとして大問題になりました。このために，この後は女性の天皇を避けるようになり，奈良時代から９００年の間女性の天皇は生まれませんでした。
　異性関係にまつわる権限の濫用というのは女性でも男性でも起こると思いますが，女性はいけないとされてしまったわけです。その後，江戸時代に２人女性の天皇が生まれました。女性の天皇は避けはしたけれど，禁止はされていなかったのです。
　女性の天皇が禁止されたのは明治になってからです。その理由を，伊藤博文が「憲法義解」という本で「不文の常典」だからと書いています。｢不文の常典｣とは，常に変わらない規則ということです。しかし，女性の天皇は多くはありませんがいたわけですから，女性の天皇を禁止することが不文の常典だったとまで言えるか疑問です。
　共同通信社の２０１９年１０月のアンケートでは，８１．９％の国民が女性の天皇に賛成だといっているそうです。
　愛子さんが２０歳になった機会に，女性の天皇について考えてみるのも良いのではないかと思います。