会長報告

　　　　　　　　　冬季オリンピック

　冬季オリンピックが終わりました。フィギアスケートの，神戸市灘区出身の坂本花織さんが銅メダルを取られ，カーリングでは，ロコ・ソラーレの女子チームが銀メダルを獲得するなど大活躍でした。
　スケートというものは，いつ頃誰が始めたのでしょう。ヨーロッパで旧石器時代に，マンモス，シカ，牛の骨のスケートが発見されているそうです。荷物の運搬用だったようです。オランダでは，１７世紀頃，運河が網の目のようにあるので，冬に凍った運河をリンクにしてあらゆる階層の人が娯楽として滑ったそうです。農民と貴族は滑り方に対する考え方が違ったそうです。農民は，目的地に向かってなるべく早く到達することを重視し，貴族は，上体を起こして優雅さや芸術性を重んじたそうです。この農民の滑り方が後のスピードスケートになって，貴族の滑り方が後のフィギアスケートになったそうです。
　じゃあ，カーリングとはいつ頃誰が始めたのでしょう。広まったのはつい最近のようなイメージがありますが，実は，５００年前，１５００年頃に，イギリスのスコットランドで始まったそうです。カーリングの単位は，イギリス式に，メートルとかキロラムでは無くヤードとかポンドを使っています。スコットランドから早い頃からヨーロッパに伝わったようです。ピーター・ブリューゲルというベルギーの農民の絵で有名な画家の１５００年代の絵に，カーリングをする人々が描かれています。カーリングは，１９９８年の日本の長野でのオリンピックで正式種目に採用されました。
　日本は冬季オリンピックに最初に参加したのは昭和６年（１９２８年）スイスのサンモリッツ大会で，スキーで参加したそうです。で，あまり知られていませんが，戦前の昭和１５年に，日本で冬季オリンピックを札幌で行う予定だったのです。この当時は，冬季オリンピックと夏季オリンピックを同時に開催していたので，昭和１５年に，日本は，東京オリンピックと，札幌オリンピックを同時に開催する予定だったわけです。残念ながら，戦争のために，両方のオリンピックが返上され中止になったわけです。
　冬季オリンピックは，｢白いオリンピック｣と言われることがあります。１つの意味は，雪や氷の白の意味です。もう一つの意味は，白人のオリンピックという意味です。確かに，選手には白人が多く，有色人種，特に黒人が少ないですね。これは，暑い地域には雪や氷が無いという理由もありますが，冬の競技は経済的負担が多いので経済格差が原因だという面もあるようです。その点，今回の冬季オリンピックでは，アメリカのエリン・ジャクソンさんがスピードスケート５００ｍで黒人女性ではじめて金メダルを取ったことは大変な快挙です。
　人種，性別，社会的な身分にかかわらず，誰もが参加して競い合えるオリンピックになれば良いと思います。